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「#アスフォデルの巫女」レギュレーション&ワールドガイド
【今回予告】
聖エストーレ山。
世俗の人間には立ち入ることが禁じられた聖なる山の頂には、神殿の総本山ライナス神殿がある。
その神殿の中央に聳え、天空から燦然と虹色の輝きを放つ"水晶の塔"は、神の園に最も近い場所と言われる神聖な地。
ゼディアス神の巫女として選ばれた乙女は、そこを終のすみかとし、人生の残り全てを神への祈りのために捧げ、信仰に殉じる。
純粋で穢れなき心、厚き信仰心、気高き魂……。人々はその美しき姿を一つの花に例えてこう呼んでいる。
"アスフォデル(天上の百合)の巫女"と。
先代の巫女から二十年。
新たにアスフォデルの巫女として選ばれた乙女ディアレシア……しかし、この地上で最も敬虔で清らかな者であるはずの巫女は、邪悪へと堕ちた。
不死の力を手にした彼女は、枢機卿たちを殺し、人肉を喰らい、世界を手中にせんと王国に対して牙を向ける。
さながら、伝説の魔女クラーヴァのように。
世が混迷を向かえる中、巫女の幼なじみたちは、彼女にこれ以上無益な罪を重ねさせぬために立ち上がる。
かつて苦楽を共にし、青春の日々を過ごした彼らは、今、互いに殺し合うために対峙する。
もう、以前のような関係には戻れないのか。
懐かしき日々は、ただの感傷的な追憶でしかないのか。
砂時計の砂は冷徹に時を刻み続け、昔日の面影を蜃気楼のように儚いものへと変えていく。
アリアンロッドRPG 「アスフォデルの巫女」
今は、想い出だけが眩しくて……。
【ハンドアウト】
《PC1》
あなたはノルベルト王国の第二王子にして次期国王の筆頭候補である。
そしてディアレシアはあなたたちの幼なじみで、いつも一緒につるんでいた四人組の一人でもあった。
彼女が魔女に堕したという事実を、あなたは未だに信じられずにいる。
あなたが知る限り、彼女は誰よりも聡明で清廉な人物だったからだ。
巫女の悪行の数々は、あなたが知る彼女とあまりにもかけ離れすぎていた。
何故、こんなことをしたのか。
その真意を確かめるために、あなたは水晶の塔へと向かう。
もし、そこにいるのがただの魔女で、"ディア"と呼んでいたあの愛しき少女がもうどこにも存在しないのであるなら、あなたは自らの手で彼女を殺さなければならないだろう。
"不死の魔女"となった彼女を倒すことができるのは、魔剣ゼルギウスを持つあなただけなのだから。
《PC2》
あなたはノルベルト王国の貴族の娘で、《PC1》の婚約者である。
あなたにとってディアレシアは、姉のように慕っていた存在であり、美しく理知的でいつも凛としていた彼女は正に自分の憧れそのもので、そんな彼女があなたは大好きだった。
だがあなたは、彼女に対して複雑な感情も抱いていた。
彼女がアスフォデルの巫女に選ばれたとき、巫女の候補者の一人でもあったあなたは、彼女ともう会えなくなるという悲しみと同時に、微かな安堵も覚えていたのだ。
自分が水晶の塔へ一生幽閉されずにすむということ、そして、彼をディアに奪われずにすむということに。
彼女は美しく、魅力的な女性だった……女の自分が羨むほどに。
そして、あなたは気付いていた。彼女が密かに誰を愛していたかを。
あの時覚えた微かな安堵は罪悪感として心に残り、その罪の意識が今でもあなたを嘖み続ける。
もし、巫女に選ばれたことが彼女を狂わすきっかけになっていたのだとしたら、あなたはなんとしてでも彼女を救いたいと思っている。
しかし、仮に彼女を救ったとしたら、その結果、彼をディアに奪われるてしまうのではないかという不安もまた、あなたの心に渦巻いている
ディアと対峙した時自分はどうするべきかを、あなたは未だに決めかねていた。
【キャラクター作成について】
キャラクター作成時の経験点は120点。ギルドルールは今回使用しません。
クラス制限は特にありませんが、PC1はウォリアー推奨です。PC2は完全自由で作ってかまいません。PC1かPC2のどちらかが回復手段を持っていた方がいいのですが、ない場合は代わりになるアイテムを出しますので、クラス選択にそれほど気を使う必要はありません。
なお、幼なじみ四人組は以前にパーティーを組んでいたことがあり、
PC1:パーティーのリーダー的存在。戦士。
PC2:みんなに可愛がられている妹的なポジション。
ディア:パーティーの知性。アコ。
デューリッシュ:大貴族の息子だけど、やんちゃ坊主といった風の気のいい男。戦士?
といった感じの構成だったので、その辺をある程度考慮して作成してくれると物語に厚みが出るかも。
使用ルールの範囲は基本と上級ルールブック。この2冊の中にあるものでしたら、スキル、アイテム等は何でも使用可。ただ、世界観の問題から、種族は人間(ヒューリン)オンリー。同様の理由で、ガンスリンガーは使用禁止クラスとします。
シナリオはストーリー重視で、クライマックスの戦闘はフレーバー色が強くなるのと思うので、キャラクターはイメージ優先で作成してかまいません。ただ、全く戦えないとなると問題が生じるので、ある程度の戦闘力は保持しているようお願いします。PC2はあまり戦闘力がなくても大丈夫かと思いますが、「あなたを殺して私も死にます」とかなったときは戦闘力がものを言いそうなので、ガチに作っておくのも一つの手です。(ぉ
所持金は特に規定なし。PC1は王子だし、PC2は貴族の娘なので、所持金欄には、国家予算に影響を与えない範囲で好きな金額を書いといて下さい(具体的な金額を書かず、"たくさん"とかにしておくのもOK)。まあ、シナリオ中にお金使う機会もなさそうだし。
装備も自由。ルールブックにあるものであれば、レベル・能力値などの許す範囲で何を装備させていてもいいです。ただ、PC1は魔剣ゼルギウスを装備し忘れないように。PC2もPC1の背中に突き刺す短剣の準備は忘れないように(笑)。
《ゼルギウス》
種別:両手剣 レベル:4
重量:14 攻撃力:+15
命中修正:−2 行動修正:−2 射程:至近
※特殊能力:真の力の解放(メジャーアクションで宣言。コスト10。攻撃対象が生物である場合、この剣による攻撃は闇属性の魔法攻撃となり、攻撃力にさらに+15する。また、この剣によって与えたダメージは通常手段では絶対に回復しなくなる。伝承によれば、この剣に切り刻まれて死ぬと、その者は魂まで汚されて安息を迎えられなくなり、未来永劫地獄で苦しみ続けることになるという)
その他、こんなアイテムが欲しいとか要望があればGMへどうぞ。
親とか恋人の形見であるメダル状のおまもりを胸ポケットに入れておけば、銃で心臓を撃たれたとき、あなたの命を守ってくれるかもしれません。
「これは誕生日にディアレシアからもらった大切な品なんだーーッ!」とか言って、ラブラブエンディングに向けての布石を張っておくのもアリ。ただし、希望するエンディングが本当にあるかどうかまでは保障しかねます。(ぉ
【特殊ルール等】
今回のセッションではシーンが大幅に飛ぶ場面が出てきます。そのような場合、特に指示がない限り、連続性がある場面では前のHP・MPを引き継ぎ、連続性がない場面ではHP・MPは上限値からそのシーンを始めることとします。また、1シナリオ1回だけしか使えないスキルも、連続性がないシーンでは別カウントとして利用できます。
ただし、フェイトはシーンの連続性・非連続性に関わらず回復せず、そのままの値を引き継いで使用します。つまり、HP・MP、1シナリオ1回だけのスキルはシーンの変化によって回復する場合があるけど、フェイトは回復しないということです。
(※追加:《ダンシングヒーロー》の使用回数もフェイトと同様、回復しないものとして扱う)
なおフェイトですが、今回のセッションでは従来の方法以外に次のような特殊な使い方ができます。
《フェイト使用の特殊ルール》
フェイトを1点使用することで、キャラクターシートに書かれていなかったアイテムを一つ、持っていたことにできます。ただしそのアイテムは、その場面でそのキャラクターが持っていても不自然じゃないというものに限ります。例えば、MPポーションを一つ持っていたことにするのは簡単にできますが、魔剣ゼルギウスをもう一本持っていたということは、設定上あまりにも不自然なのでできません。同様に、フェイトを何点使用したところで、MPポーション100個を持っていたとすることもできません(重量制限を遥かに越えたものを持っているはずがないという理由で)。
シナリオの特殊性から、普通のアリアンに比べフェイトの使いどころが難しいと思います。
途中でフェイトが足りなくなる、または、最終的にフェイトをかなり余らせてしまうということが、普段より起きやすくなっているとも言えます。
躊躇いなくフェイトが使用できるよう、キャラクターレベルを上げるよりフェイトを上げるのを優先してキャラを作成するというのも一つの考えです。
(※この他に、流星亭卓で一般的な「味方への支援スキルは魔術判定を省略」ルールも採用。)
【魔女クラーヴァの伝説〜ノルベルト王国建国記】
かつて世界は、今と違ってたくさんの、それこそ無数の小国に分かれていました。
異なる部族、文化……価値観の違いや互いの欲望から衝突することが多かったこの情勢の中、それでも世界は秩序を持って平和に保たれていました。
勿論、その平和には一つの理由がありました。
それは、一人の女性が神の言葉を地上に伝え、人々を正しき道へと導いていたからです。
彼女の名はクラーヴァ。世界で最初の巫女と言われる女性です。
強大な魔力と驚くべきほどの聡明さを持ち、神から授けられたという“聖女の首飾り”によって不老不死となった彼女は、地上における神の代弁者として人々の調停役となり、何百年もの間、平和と秩序の維持に努めて来ました。
しかし、クラーヴァは次第に傲慢になっていきました。
自らを神そのものであるかのように称し始め、その振る舞いは横暴なものとなり、恐るべき魔力を自らの欲望のために行使するようになっていったのです。
彼女を諌めるものは皆殺され、また、彼女自身も人の死を弄ぶようになり、世界は大きく乱れ、争いに満ちていきました。
クラーヴァの専横に対抗しようにも、その魔力は圧倒的であり、何より不老不死である彼女に対して人々は為す術を持たず、唯々諾々と従うしかありませんでした。
そんな中、一人の英雄が現れました。
後にノルベルト王国の建国王となるグレイハルト、その人です。
彼は世界中から魔術師を集め、彼女を倒すための“魔剣ゼルギウス”を鍛えると、クラーヴァに決死の覚悟で戦いを挑み、苦闘の末、とうとう魔女を打倒することに成功したのです。
クラーヴァの死後も戦乱は続きました。
グレイハルトは周辺の国々を平定していき、広大な版図を持つノルベルト王国を築くことで、戦乱の時代を終結させました。
やがてグレイハルトは王国のその後を息子に託すと、魔剣ゼルギウスを携え、何処かへ旅立っていったのです。
以後、彼は歴史の表舞台に現れることはなく、グレイハルトのその後の行方は今もって謎とされています。民衆の間では、グレイハルトは神が地上に遣わした使者であったと信じる人も多いです。
【アスフォデルの巫女】
ライナス神殿の水晶の塔で、一生をゼディアス神への祈りのために捧げる乙女。
その美しき姿を花に例えて、アスフォデル(天上の百合)の巫女といつしか呼ばれるようになりました。
かつての巫女クラーヴァが神の声を地上に伝えるシャーマンとしての役割を果たしていたのに対し、アスフォデルの巫女は神に捧げられた生贄としての意味合いが強いです。クラーヴァの犯した罪を、人々に代わって償うための存在とも言えるかもしれません。
俗世を離れ神への信仰に殉じるということと、巫女が纏う白装束のイメージとも相まって、アスフォデルの巫女は“ゼディアス神の花嫁”と呼ばれることもあります。
その美しく気高き姿は多くの少女たちの憧れであり、清らかで敬虔な様は女性の理想像とされています。家庭で娘を躾ける時、「アスフォデルの巫女になれるよう、礼儀正しく振舞いなさい」という言い方をしたり、女性を褒め称えるのに「アスフォデルの巫女のように清らかで美しい」という風に言ったりもします。
巫女は神託によって選ばれ、大体20〜25年ごとに次の巫女に代替わりします。
代替わりの時期になると、神殿からお触れが世界中に出され、自・他を含め次の巫女として相応しいと思われる乙女が各地の神殿に推挙されます。半年ぐらいの間に、5名ほどが巫女候補として選定され、お触れが出されてから一年後に、その中の一人が正式に巫女として選ばれます。
自分の家系から巫女を出すことは大変な名誉とされていて、巫女を出した家には国から多額の恩賞も出ますので、娘がアスフォデルの巫女と選ばれることを夢見る家も少なくありません。
その一方、巫女に選ばれるということは、一生、水晶の塔に幽閉されて過ごすということでもあり、愛し合いながら引き裂かれる恋人同士の話は、吟遊詩人が奏でる物語として格好の題材ともなってきました。巫女候補の女性が駆け落ちしたという話も、長い歴史の間にはいくつか存在しています。
ただ、巫女として選ばれながら逃亡することは重罪であり、その罪は本人のみならず一族にまで及ぶため、アスフォデルの巫女本人が逃亡した例は今のところ存在しません。また、巫女候補の段階で逃亡するにしても、それは神を冒涜する行為であり、一族の名誉を著しく傷つけるため、実際に駆け落ちまでした例はそれほど多くはありません。名誉を重んじる貴族などでは、巫女候補に選ばれた段階で娘を家に幽閉してしまうことも珍しくありませんでした。
いきなり一人の巫女が選ばれるのではなく、まず、巫女候補が何人か選ばれる理由については、そうすることで、真に巫女に相応しい人物を見極めるためではないかとも言われています。
【神殿】
「王といえども、神の前ではただの人である」
この言葉は、神に対する敬意を表すのと同時に、例え国王であっても神殿に対してはその権力を自由に行使できないという意味も込められています。
ゼディアス神だけが唯一の神として信仰されている、キリスト教的世界観を持つこの世界では、神殿の最高位である教皇の権力は、大陸で最も強大な国であるノルベルト王国の国王すら凌ぐことさえあるとまで言われています。
世界各地に点在している神殿は、万民の信仰の拠り所として崇拝され、国の分け隔てなくあらゆる人々に対して影響を与えています。
各地の神殿は、総本山であるライナス神殿の下に厳密に管理され、そのライナス神殿自体は教皇とそれを支える四人の枢機卿団によって実質上運営されています。
